海上レーダー試験運転 不審船侵入通知・追跡
水産養殖業のダイニチ(愛媛県宇和島市寄松、玉留一社長)は5日、養殖魚の盗難被害軽減を目的に国内3社と共同開発した「漁場監視用海上レーダー」の試験運転を開始した。不審船の侵入を通知、追跡する海上設置型の無人レーダーで、ダイニチは「日本初の試み」と紹介。性能向上や広範囲での実用化へ向け約1年間、効果を検証する。
同社は養殖業者を悩ませてきた、仕入れ数と出荷数の大幅な差異に着目。「魚が死んだり逃げたりすることも原因だが、前日と比べ明らかな数の減少や網の破損など、盗難の可能性もある」とし2015年8月から企画。陸地からの監視カメラでは映像が不鮮明で、夜間の見回りは負担が大きいことから、レーダー開発に着手した。
高さ約5メートルのレーダーを縦約6メートル横7メートルのいかだに設置。衛星利用測位システム(GPS)も搭載し、半径200メートル内に船が侵入すると管理者のスマートフォンやパソコンに連絡が入る仕組み。最大10隻まで把握でき、午後5時から12時間稼働する。半径1600メートルまでなら不審船を追尾できる。夜間の監視が不要で迅速な対応が取れる。開発費用は約400万円。